輸液の体内移行

doctor 犬猫 獣医向け

2020.12.11

はじめに

輸液について、輸液の種類やその違いを生理学も踏まえて解説します。

そもそも体液ってどう分布してるか

輸液の話をする前に体液の分布についてです。

体液の分布を理解することで、血管から流入した輸液がどのように広がっていくかがわかります。

細胞内と細胞外

細胞内 : 細胞外 = 2 : 1

間質と血管

間質 : 血管 = 3 : 1

どの区画を何が透過するか

では次に、それぞれの区画にどのような物質が透過出来るかです。

血管内のみ

アルブミンのような大きなタンパク質は血管内に留まります

血管内⇄間質

NaやK、Clのようなイオンは血管内皮を通過し間質に移動します。

間質⇄細胞内

尿素は細胞膜を通過し、細胞内に移動します。

また、自由水も細胞内に分布します。

それを踏まえて、どの輸液がどこに分布するのか

膠質液

膠質液はアルブミンやデンプンなどの分子量の大きいコロイドが含まれています。

なので、血管内に留まり、血管内浸透圧を高めます。

晶質液

晶質液は電解質を含む輸液です。

電解質はイオンとして働くので、血管内及び間質に分布します。

*例えば生理食塩水を輸液した場合、体内への分布は以下のようになります。

ブドウ糖液

ブドウ糖は細胞膜を通過しません。

しかし、ブドウ糖はインスリンの作用で吸収されるので、ブドウ糖液は自由水になります。

自由水は細胞膜を透過し、細胞内にも移動します。

その結果、ブドウ糖液は細胞外及び細胞内に広く分布します。

*例えば5%ブドウ糖液を輸液した場合、体内への分布は以下のようになります。

参考文献

カニでもわかる水・電解質

SAMedicine Vol.21 No.1 2019

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